組織を活性化させるアナロジーとは
組織には「触るなキケン」の会議があふれている
会議をすると主体性をもって提案するひとがいないどころか、自分の意見も言ってくれないひとが半分を占める、なんてことに心当たりはありませんか?
チームを前進させるための会議で、誰からも意見が出ないとがっくりと肩を落としたくなりますよね。
どうしてみんなは意見を出さないのでしょう?
出さない、のではなく出せないという可能性は考えられないでしょうか?
会議で口を閉ざしてしまうひとたちはこんなことを考えています。
「自分の発言が評価対象になるため、マイナス評価になるくらいなら黙ったほうが良い」
「議題を受け入れること前提になっているため反論できない」
「経験の浅い自分の意見はどうせ却下される」
「そもそも何を聞かれているのかわからない」
※何を聞かれているのかわからない問題は、「問いかけ」によって解決できます。
このように様々な阻害要因が、意見を出せない状況を作っています。
特に上司などの評価者が参加して、意思決定を行う会議はそれだけで「触るなキケン」の状態となっているのです。
当然のことですが、触るなキケンな会議は、議題が参加者に直接関係のあるものです。
だからこそ、利害関係が生じやすくなり、発言を控えてしまうひとが増えてしまいます。
私は、会議と参加者の関係性を変えることで発言しやすい場をつくれると考えています。
そして、そのために必要な手段こそがアナロジーです。
アナロジーとはなにか
難しいことは抜きにして簡単に言うと、アナロジーとはあるものごとの本質を別のものごとのなかに見つける思考方法です。
ものごとの本質はそのままに、見え方を変えると言えばイメージしてもらえますでしょうか?
具体的な例を紹介します。
ある美容メーカーA社では「顧客に感動を与える」という理念を掲げています。
A社では、この理念が社員各自の業務とどう関係しているのか発表するという会議が開かれました。
感動という言葉の定義も広く、会社の理念である以上へたなことは言えない空気になります。
そこで、「美容機器の製造会社の理念」を感動というキーワードを主軸に「製造を通して感動を与えた歴史上の人物」へとアナロジーします。
「感動を与えた歴史上の人物の事例」と「自分の業務」の共通点を見つける、となると議題は変わっていませんが、より発言しやすくないでしょうか?
なぜなら、参加者の意見は「会社の理念」に対するものではなく、「歴史上の人物」に対する私見になるため、忖度が不要になるからです。
アナロジーを用いることで、議題と自分との関係性が変わり、ニュートラルな意見が出やすくなるのです。
アナロジーが照らす側面
アナロジーは、違った角度、俯瞰した視点を与えてくれます。
ということは、意見が出せなかったひとだけでなく、活発に意見を出していたひとにも新しい視点を提供できるということです。
そして、私が一番強調したいメリットは上下関係や利害関係がフラットになることです。
組織や業務に直接関係する議題は、経験やスキルが長けているひとや役職のあるひとの意見が尊重されます。
しかし、アナロジーによって議題との距離が変わると、参加者同士の関係も変わります。
緊張が緩和されるのです。
結果的に、会議の参加者はフラットな関係になり、参加者同士の新しい一面を見つけることにも繋がります。
心機一転して新しいことに挑戦するとき、伝統的な習慣への新しい視点が必要なとき、バラバラな個性のメンバーをまとめるときなどに、アナロジーは思わぬ効用をもたらしてくれるでしょう。
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